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●毘沙門洞への道のり
毘沙門洞が位置する「雨石山」には、一ノ滝・二ノ滝・三ノ滝があります。
ふもとから登り始めて十分余り、一ノ滝に到着しました。このところ晴天が続き、水不足が心配されていたころなのに、途切れることなく水が流れていました。早くもバテ気味の私は、飲みたい気持ちを抑えて、澄んだ冷たい水で手を洗うだけにしました。
そこから洞窟までは二十分ほどです。かなりの勾配があり、「あーしんど…」と言う元気もなくなりました。汗がふき出ます。同行してご案内いただいた畠中英一さん(小原)の健脚ぶりに驚きつつ、必死で登り続けました。
暑さも最高潮に達したころ、洞窟に到着。自然のものとは考えられない巨大な造形です。一歩足を踏み入れた途端、汗がスーッと引きました。水もわき出ています。一ノ滝でも見られましたが、お賽銭、お酒が供えられています。道中、畠中さんが「度々のぼった形跡が見られます。枯れ葉が粉々だし、荒れていません」と言われていたとおりです。
●伝統の行事「初寅さん」(はつとらさん)
この洞窟には毘沙門天洞が祀られています。毎年の1月、最初の寅の日に、夜明けとともに地域の人々がお参りする「初寅さん」が行われています。これには前日からの用意が欠かせません。禰宜(ねぎ=当番)さんは、毘沙門天ののぼりを立て、ランタン(=明かり)を100メートルおきに登山道に設置します。お供え物として、鯛の尾頭付き、野菜、鏡もち、お神酒、しめ縄。洞窟内でたき火をするためのたきぎも必要です。それらの必需品を一月の雪降る中、雪かきをしながら持って登るのです。大雪の降った一昨年は、さすがに登れなかったらしいですが、長年続けてこられた行事をここで絶やすことはできないという地域の人々の強い信念があってこそ続いていることを教えられ、ますます感心いたしました。
「初寅さん」の日は、洞窟で6時半ごろに日の出が見られます。洞窟内は、たき火の煙で何も見えません。その中を一筋の光が差し込みます。そしてその光りは、ナント!、洞窟内の地上10数メートルの位置に正面を向いて祀られている毘沙門天像に、一寸のちがいもなく当たるというではありませんか。洞窟は自然にできたものです。石像に光が当たることまで考慮して設置されたとは到底考えられません。まさに神秘そのものです。一度この目で確かめたい衝動に駆られましたが、この山道を雪の降る中登ることを想像すると…。
毘沙門洞を後にして、二ノ滝、三ノ滝へと進みました。三ノ滝でも、お金が供えられていました。ここでは、ごくたまに、白い衣を身につけた女の人が「水垢離(みずごり)」をしているのを見かけることがあるそうです。畠中さんの説明によると、これは平安末期に盛んに行われていたという、三嶽修験道「山岳信仰」として、山伏が修行する経路にこの地域が入っていたからだとも伝えられているそうです。
●大日堂と伝統行事
さて、小原地区は、毘沙門洞よりも、大日如来座像が安置されていることでよく知られています。堂内では、7月28日の「数珠繰り」、8月28日の「盆踊り」、1月28日のお参りの日と、昔からの行事が世代交代を経ても受け継がれています。前述の「初寅さん」にも、「遠くに行っている、子や孫が帰ってきて登ってくれます」と話される畠中さん。その笑顔がとてもうれしそうでした。
大人たちは日々の生活に追われ、子どもたちもストレスを溜め込んでいる今日、地域の諸行事に参加するのもおっくうになりがちです。でも、数10年後、自分たちが年老いた時のことを考えると、無理のない範囲で存続させる大切さをひしひしと感じたひとときでもありました。
●私のおすすめポイント
小原の毘沙門洞(毘沙門天)、そして一ノ滝、二ノ滝、三ノ滝
と涼を求めて歩く登山道も良し。秋は大日堂の紅葉(大銀杏)を観賞するコースも入れて、ハイキングコースにするには、絶好のおすすめのポイントです。
一度ぜひ皆さんも訪ねてみられてはいかがでしょうか。心が洗われ、心豊かになる自分を再発見されることでしょう!。
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