1.背景と目的
現在、篠山市においては、JR福知山線と路線バス、乗合タクシーなどにより公共交通ネットワークが形成されているものの、自動車利用の進展に押されて路線バスの利用者は年々減少傾向にあり、高齢者の通院や児童・生徒の通学などに利用者が限られる状況となっている。また、市内の路線バスは、市街地地域を起点として周辺部と放射状のネットワークを形成しているため、周辺部地域でのバスサービスは低水準のものとなっていること、さらに篠山市は337.61平方キロメートルと広大な面積を有していることから、特に山間部の集落においては、依然として公共交通不便地域が見受けられる状況となっている。
さらに高齢化時代を迎える中で、篠山市においても65歳以上の高齢化率が年々上昇し、今後ますます高齢化の進展が予測されるなか、高齢者の社会参加や外出機会などのニーズがますます高くなってきている。
このような背景のもとで、篠山市総合計画においても“あらゆる人が使いやすい公共交通を目指したコミュニティバス等の導入を検討します。”と位置づけられているように、市民の日常生活に欠くことのできない公共交通としてのコミュニティバス導入の必要性が認識されている。
そうした中で、篠山市コミュニティバス導入検討委員会では2003年12月から4回の検討委員会を開催し、篠山市におけるコミュニティバスの導入の必要性・可能性について検討を重ね、以下に示すような一定の方向性をまとめた。
2.コミュニティバスの導入目的及び役割
本検討委員会では、市民ニーズを把握するために、公共交通不便地域20地域(30集落)を対象に「ふだんの生活交通に関するアンケート調査」を実施し、篠山市のバス交通の現状や篠山市総合計画における位置づけなどといった観点から、今後の市内の生活交通を確保するための一つの方策として、コミュニティバスの導入の可能性を検討した。そして、篠山市におけるコミュニティバス導入の目的を、(1)公共交通不便地域への対応、(2)高齢者など交通弱者のモビリティの確保、(3)病院・公共施設などへのアクセスの確保と設定し、篠山市におけるコミュニティバスの役割を、路線バスサービスと福祉サービスの双方を補完するものと位置づけた。
3.コミュニティバスの運行計画
次に、前段の導入目的と役割を受けて、具体的な運行計画の検討を行い、路線バスや鉄道等を併用することによって目的地へのアクセスの確保と、誰もが利用しやすい車両を導入することを基本とし、運行日については「平日のみ」とした。また、運行ルートに関しては、公共交通不便地域から各地域の拠点施設と既存のバス路線や鉄道駅を結び、その利用においては、「コミュニティバスが運行する沿線地域」の人々も自由に利用することが可能とし、誰もが利用できるコミュニティバスとして位置づけた。運行ルートを設定していくなかで、市民の利用ニーズから週2回程度の運行を可能とするには、最低2台のバス車両の導入が必要であり、2台のバス車両で、公平性の観点等を踏まえ、全市域での運行を想定した運行計画をまとめた。
また、本委員会での運行計画においては、全市域での運行を想定しているが、今後、実証実験・試験運行を行う際には、導入地域を限定して行い、本格運行の可否を決定する方法も考えられる。
4.検討課題
また、広範な篠山市において、2台のバス車両で全市域を対象に対応していくには限界があり、今後、路線バス、福祉バスやスクールバスといった、既存の交通資源を有効活用することや、NPO等によるボランティア輸送(有償運送)の導入等の可能性を検討するとともに、本検討委員会でも検討した、コミュニティバスのみで目的地まで移動できる運行方式や休日の運行の可能性についても、再度、調査し、利用者にとってより利便性の高いサービスの提供が可能なコミュニティバス運行の実現化に向けて検討をしていく余地があると考える。
5.運行実現化に向けて
最後に、この検討委員会において、別冊のとおり「篠山市コミュニティバス導入調査事業報告書」を作成し、篠山市のコミュニティバスの一定の方向性をまとめるに至ったが、今後においては、コミュニティバスの運行実現化に向けて、市内部による、より具体的な運行計画の精査が行われるとともに、篠山市公共交通対策協議会においても2004年度にさらに詳細な検討を加え、篠山市おけるコミュニティバスの運行が、一日も早く、実現されることを期待するものである。
篠山市コミュニティバス導入調査検討業務 報告書のページ